顔面3種 令和2年6月27日

①頬~顎の痛み
帯状疱疹がきっかけで、顎~頬、そして舌に痛みを生じるようになった。いわゆる、帯状疱疹の後遺症である。ペインクリニックで星状神経節ブロック(SGB)を施行。1年ほどで治癒した。ところが7カ月後に再発し、再び同クリニックでSGB施行して、半年で半分くらいになった。
ただ、当院に来院された時は5分に1回のペースで”痛みの波”がきて顔をしかめていたので、これで半分なら相当な痛みなんだなあと思った。当初はリリカなどを服用していたが、効かないので飲んでいない。食事をしてものを噛むと、痛みの波が出るので、「痩せますよ」と冗談で言っていた。
鍼治療2回目 痛み10→3  痛みの波5分おき→30分おき 夜も寝られるようになった
鍼治療3回目  痛み3→1 痛みの波1回/日となり、治療終了とした。

③目の渇き(ドライアイ)
中・高校生の頃にコンタクトレンズを使用を始めたが、目の渇きを感じて使用を中止し、眼鏡に戻したが目の渇きは戻らなかった。眼科で検査したが、涙の量はNPと言われ、シェーグレン症候群などを疑ったがNP。視力検査では左右差は無く、乱視等もなかった。ジクアスやムコスタ、涙液などを処方されたが、目薬は1日中手放せない。
独自に目に良い健康食品やサプリメントを試したが改善はみられない。一度、鍼灸治療を受けたが、効果が一定しなかったのでやめてしまった。
よくよく考えると、人と会話するときに緊張すると目が乾くような気がするという。
鍼治療2回目 眼の渇き9→6 と変化がみられたが、その後は来院しなかったため、2回で治療終了。
その後、しばらくしてから約1年後に来院。前回2回治療した後、ずっと調子は良かったという。PC作業をすると目が乾くというので、前回同様の治療を行った。

③顔半分の知覚鈍麻
数週間前より。顔半分が紙でも張り付いたような感じがするという。頭痛もある。しかし、手で実際に触れて、左右差を比べると同じだという。痛みもなし。現在、仕事が非常に忙しく、公私ともにストレスを抱えているという。
表情筋や口の動きNP、頭部の知覚鈍麻NP
鍼治療2回目 知覚鈍麻10→3
まだ、顔が変な感じがするならば、来院するように説明したが、その後が連絡ないのでないので、良いのだろうと思う。

今回、顔にまつわる愁訴に対して鍼治療を行った。鍼で回復したことから、筋肉、知覚神経、自律神経の問題で、中枢神経の問題や器質的要素が無いか、少ないものだと思われる。
そして、今回は特に頚部や背部に強い筋緊張がみられた。①③では特に症状と同側の胸鎖乳突筋に強い緊張がみられ、治療により十分筋緊張が緩和していたことから、何か関係があると思われる。顔面の症状以外でも、自律神経系の症状が出ている患者でこのような緊張があるときは、緊張がない患者に比べ治療をすることで症状が緩解することは良くあることである。逆に無い場合は、改善が難しいことがある。この場合、肩甲間部の筋緊張も同じようなことが言える。
これは鍼灸治療等で改善できるか、出来ないかの臨床上の一つの所見であると私は考えている。

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