仕事の多忙さから不眠になった症例

症例
40歳代、女性、製造業

愁訴:#1背中が冷える、#2不眠
現病歴#1:3年前より。この頃は日中・夜の交代勤務だったが、その後から日中勤務になってから、背中が冷えるようになった。背中の冷えは、夜寝ているときに特に感じる。その他にもお腹も冷える。逆に手は火照り、足は特に冷たさを感じない。生理周期は、不規則でカイロをお腹に貼っていると規則正しくなる。婦人科では、ビタミンB12と当帰芍薬散を処方してもらっている。
#2:仕事が多忙になってきて、夜中に疲れているのに眠くならない。一旦、寝ても夜中にひどいときには1時間おきに起きてしまう。時に寝ながらうわごとで?発狂してしまうことがある。

施術1回目
いつもの施術に耳鍼と星状神経節鍼通電を行った。
初回の自律神経の測定結果は以下
自律神経は大きく乱れており、測定不能。

施術2回目
夜眠くなって寝ることが多く、中途覚醒も少なかった。
背中の冷えは変わらず。

施術3回目
背中の冷え↓、夜寝ていて暖かい日が数回あった。

施術4回目
夜眠くて寝てしまう。
背中の冷えはあったり、無かったりする。
お腹に箱灸追加
自律神経測定:大きな乱れは無くなった。
平均脈拍:70
活動度:57.4
活性度
パワー:6.94、交感神経:5.09、副交感神経:5.40


施術5回目
よく眠れている。
背中の冷え↓
この後、数回施術したが睡眠が正常になり、冷えもなくなったため終了とした。
自律神経測定:乱れは無くなり、正常な波形になっている。
平均脈拍:62
活動度:68.4
活性度
パワー:7.47、交感神経:5.53、副交感神経:6.02

考察
睡眠は体調を推し量る上で、最も重要なファクターの一つである。質が良い十分な睡眠が確保されている人では、体調が悪い人はほぼいないと考えても良い。したがって、睡眠がうまく取れているかどうかは、その人の健康状態を表し、治療の効き方や治療の組み立てにも影響を及ぼす。
睡眠が確保されてくると、からだが休まるため、他の症状も良くなってきやすい。このような方は、医療機関では眠剤や安定剤(抗不安薬)を処方されることがあるが、睡眠が全然確保されていなく、疲労が蓄積しているならば、一時的にこれらの薬剤に頼ることもありだと考えている(ただし、これらの薬剤は強い依存性があることも知っておく)。
背中の冷えは、この場合は本当に冷えているというより、背中の皮膚知覚異常(痛覚の一種)だと考えている。そして、背中の筋肉のコリがある場合が多い。人によっては、背中に冷風が当たっているような感覚と表現する人もいる。施術により、筋肉のコリが緩解し自律神経が整ってくると楽になる。
今回、自律神経をその都度測定したが、右肩上がりに良くなっていったことが、数値でも確認できた。このような測定は、患者さんに他覚的な観点からの安心感(同時に自覚的にも良くなっているときは特に)を与えるので現場では重宝するものである。

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