2023春 花粉症に対する鍼灸治療の効果報告

 2023年の花粉症に対する鍼治療の結果を報告いたします。2023年のスギ花粉の飛散開始日は2月28日で、ピークは3月いっぱいだったようです。また、ヒノキ花粉はそれより遅れて4月にピークを迎えたようです。

方法:花粉症の症状を訴える患者に対し仰臥位での鍼灸治療に加え、星状神経節置鍼法で用いられる箇所に寸6-3番で鍼通電療法を15分間行った。

 その後、2週間以内で再来院された患者に関して、施術後の効果に関して後ろ向きの花粉症アンケート調査を行った。鍼の効果に関してはVASを用いた。つまり、最も酷い状態を10、症状が無い状態を0として、鍼を受ける前と受けた後どうだったのかを記入してもらった。

施術期間:2月下旬~4月半ば
施術人数:20名のうち、アンケート回答者10名(男3名、女7名 年齢45.8±6.75歳)

結果

アンケート回答者で耳鼻咽喉科などに通院していたのは4名、通院無しは6名、服薬(市販薬含む)は7名でした。

 その他症状では涙が出る4名、目ヤニが出る3名、皮膚の痒み3名、喉のイガイガ3名、集中できない2名、頭がぼーっとする2名、頭痛2名、睡眠不足1名、倦怠感1名、咳が出る1名、痰が出る1名でした。

くしゃみは施術前平均7.1だったものが、施術後に平均2.9と症状の約59.2%が緩和した。

鼻水は施術前平均7.3だったものが、施術後に平均3.7と症状の49.3%が緩和した。

鼻づまりは施術前平均7.6だったものが、施術後に平均3.6と症状の52.6%が緩和した。

目の痒みは施術前平均6.4だったものが、施術後に平均3.4と46.9%が緩和した。

考察
 星状神経節の鍼通電により花粉症の症状であるくしゃみが59.2%、鼻水が49.3%、鼻づまり52.6%、目の痒み46.9%緩和されたが、2018年の春に行った調査(13名)では、くしゃみが58.0%、鼻水が56.2%、鼻づまり55.6%、目の痒み62.7%と比べると同等程度かやや低い結果となった。
2018年では星状神経節への刺激は手技鍼だったが、今回は鍼通電を用いたことが結果に影響した可能性がある。
 また、症状が全く変化しなかったのが3例でみられたが、うち2例に関してその後に2018年と同じような手技鍼を行ったが、症状の緩和はみられなかった。星状神経節への鍼の効果は自律神経を介するものと考えられるが、その要因以外のものが花粉症の症状を引き起こしていると考えられた。
 手技鍼では、10数分間患者につきっきりで刺激を行うため施術時間を大きく取られてしまうが、鍼通電ではそれが無いため花粉症の症状を半分に抑えられるのならば導入する意義はあると考えられる。
 ただ、効果が全くみられない例もあるため、今後の調査・研究が待たれるところである。星状神経節刺鍼に関する報告は少ないので、今後も色々試していきたいと考えている。

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