天気痛(気象病)とその対策

2923年宮城県の梅雨入りは6月11日頃であり、これは例年の6月12日とほぼ同じである。また、例年だと梅雨明けが7月24日あと少なくとも、2週間以上は梅雨前線とお友達でいなければならない。

この時期に片頭痛、首肩の凝り、腰痛、めまい、倦怠感、頭がぼーっとする、鬱っぽくなる、関節痛、吐き気、低血圧、狭心症、喘息などを生じたり、持病が悪化するものは天気痛もしくは気象病の可能がある。

ちょうど、6月の全日本鍼灸学会神戸大会で中部大学大学院生命健康科学研究科教授の佐藤純先生の特別講演「気象関連痛(天気痛)のメカニズムと対策」を聴く機会に恵まれた。

この天気痛であるが、気圧の変化している梅雨に多く生じることが分かっている。

よく「調子が悪いから明日か明後日天気が崩れる」という人はまさにこの気圧の変化を敏感に感じ取っていると言われている。一説によると邪馬台国の卑弥呼はひどい片頭痛もちで、昔の農業は天気に大きく左右されているためそれを敏感に感じ取ることができたため「天候を予言できる人」として王に祭り上げられたのではないかとも言われている。

天気が晴れ ①→ 曇り ②→ ③雨と変化する時、気圧の変化は②だけではなく、①の段階から起きており、③ではそれほど大きな変化は起きていない。したがって、天気痛の人は雨の降る少し前から調子を崩すことが多い。

天気痛(気象病)のメカニズムは、耳の穴の奥にある内耳の中に気圧を感じ取れるセンサーがあり、鼓膜を通して気圧の変動がセンサーに伝わると、前庭神経が興奮して、それが三叉神経を刺激して片頭痛を起こしている。またこの前庭神経の興奮により自律神経のバランスを崩して、様々な不定愁訴を引き起こすとされている。

佐藤先生によると、O市(2678名)で運動器の慢性痛(首や肩、腰、膝の痛みなど)を持った方(2678名)にアンケート調査をしたところ、天気が崩れていく、または崩れた時に悪化すると答えた人は全体の25%、気温の寒冷変化では47%が悪化すると答えた。4人に1人が天気痛持ちということになる。

また、ウェザーニュースの2023年4月下旬に行われた調査(19897名)では、男性の22.9%、女性の50.9%が天気痛を持っていると答えていると回答した。また、症状に関しては1位頭痛、2位肩こり、3位だるさの順に高く、男性では4位関節痛、5位腰痛であり、女性では4位めまい、5位眠気だった。その中で頭痛は断トツであり、実に8割の人が頭痛と回答した。

【天気痛調査2023】天気痛は7割近くが雨や曇りの日に発症
梅雨や台風の時期の体調不良に毎年悩まされる天気痛。本格的な雨や台風のシーズンを前に、天気や気圧の変化による身体の不調「天気痛」の症状や対策方法などの実態について調査するため、「天気痛調査2023」を実施しました。

ではこのような天気痛(気象病)のある人向けの対処法を考えてみる

①首や肩へのアプローチ
普段から首や肩の凝りがあったり、交通事故などでむち打ちを経験したりした人は特にここを重点的に行う。このような人は頸部のコリや筋膜の滑走が悪いために日常的に頭蓋骨を常に平衡に保てないために前庭のセンサーに負担がかかりやすくなっていると考えられる。

対処法としては首や肩のストレッチやマッサージ、セルフで行う場合は肘から前腕にある曲池や少海(小海)、合谷、内関、外関のツボ押しも良い。ストレートネック気味の人は、木枕(竹枕)を寝る前に使うのも良い。夏用のストールで首周りを冷やさないことも良い。

②耳へのアプローチ
車に酔いやすい、山に行くと高山病になりやすい、トンネルに入るとすぐにキーンとして耳が痛くなる人は、鼓膜から入る気圧の調節があまり得意ではない。また、内耳に炎症を起こした人も注意が必要だ。

このような人は耳の機能が劣っているので、センサーが疲労しやすいので、耳や耳周りの血行を良くするためにマッサージをしたり、温熱器具などで温めることをお勧めする。

マッサージは、耳介をもんだり、引っ張ったりするのが良い。温熱は、カイロやチンする温熱器具、ペットボトルに温かいお湯を入れたものなどを活用するとよい。

③水分対策
佐藤先生が言うには、天気痛の症状には五苓散が良いという。この五苓散であるが、猪苓(チョレイ)、沢瀉(タクシャ)、蒼朮(ソウジュツ)、茯苓(茯苓)の4つの利水剤(体内の余分や水分をおしっこにして出す)と桂皮(腸の動きを良くし血行を促進する)からなる漢方薬である。

つまり、水分代謝が悪く、浮腫んでいる状態、胃腸が冷えて調子が悪い状態だと天気痛を生じやすいということだから、その対策を取ればよい。因みに、これを漢方や鍼灸では「湿邪」と呼んでいる

2Lの水分摂取は健康や美容に良いというのは眉唾ものであり、身体が欲している以上の余分な水分摂取は控えた方が良いと考える。

目安としては、舌の縁に歯の跡が付いているのは、水分過多で舌がむくんでいる状態なので、飲量に気を付ける。また、おしっこの色が透明からやや黄色くらいなら無理に水分を取る必要はない。冷水やアイスなどが胃に入ると、胃腸の機能が落ちて、水分代謝悪くなるので、温かいものか常温で摂るようにする。

上の画像は私であるが、私も多飲気味で水分を取りすぎると、舌白で歯痕+になり、身体が重くなり、頭痛を引き起こす体質なので、体調維持のために運動のほかに定期的にサウナや岩盤浴で汗をかくようにしている。

④その他
・天気の良い日は日光浴をしたり、運動をする
 微高気圧に身体をさらしたり、運動して汗をかくことで身体を気圧変動に慣らせる。

・天気痛アプリを活用して、対策を強化させる
  ウェザーニュースの天気痛アプリ  https://weathernews.jp/app/

 

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