右大腿部前面の痛みが閉塞性動脈硬化症(ASO)だった症例

60歳台 男性

症状:右臀部と右大大前面の痛み・重苦しさ

現病歴:3階以上の階段の昇ると症状+で歩けなくなる(休むとまた歩ける)。整形外科で投薬とブロック注射を受けたが、症状に変化がみられず、原因は不明と言われた。
以前も同じような症状があり、鍼灸治療を受けたが、変化なし。そのうちに半年ほどしたら症状が自然と治まっていた。

筋力検査:かかと立ち、つま先立ちはNP。モモ上げや膝伸展なども左右差なし。
知覚検査:知覚鈍麻等無し

治療

1回目:仙腸関節と腰のAKAのち、右の大腰筋、腸骨筋、中殿筋・小殿筋に鍼を行った。大腰筋、腸骨筋には鍼先が硬結等にあたる手ごたえ無かったが、中殿筋、小殿筋は硬さがあった。鍼後臀部の痛みは-

2回目:右大転子付近の症状はとれたが、階段での重苦しさは変化なし。右仙腸関節の運動鍼を加える。

3回目:右臀部の痛みは無くなったが、大腿前面は変化なし。初診表をみると、20本/日タバコを吸うということで、大腿動脈、足背動脈の拍動が右だけ感じられず。右下肢の冷感-、こむら返り-、痺れ-。その時も同じような治療を行ったが、その後はしばらく来院が無かった。

その後:2年ぶりに首の痛みで来院されたが、前回の症状について聞くと、閉塞性動脈硬化症(ASO)と診断され、カテーテル治療によるステント術を施行したという。以後、大腿部前面の重苦しさは無くなったという。

考察

治療院に大腿部前面の重苦しさや痛みを訴えて来院する患者は少なくない。一般的には腸腰筋、小殿筋のトリガーポイントか仙腸関節の問題等が考えられるが、男性で喫煙歴がある方は拍動部のチェックや下肢の冷え・痺れ、こむら返りの有無、間欠性跛行の有無を確認するようにした方が良い。

今回、下肢の冷えや痺れなどは無く、ASOとは考えていなかったが、喫煙歴がある患者は頭の片隅に置いておいた方が良いと感じた。

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